ダイナミクスとは音の強弱の事で、音楽を演奏する上ではとても大切な要素の一つです。
ロックなど大音量のジャンルでは、勢い重視で強弱はなさそうなイメージですが、
上手いバンドの演奏では、しっかりと抑揚をつけた素晴らしい演奏をしています。
バンドのダイナミクスはドラマーにかかっている
バンドが抑揚のある良い演奏をするには、ドラマーが大きなポイントとなります。
もしある楽曲を、ドラマーが最初から最後まで同じ強さで叩いていたら、
周りの楽器隊がどんなに曲に抑揚をつけても、単調な楽曲となってしまいます。
しかしドラマーが曲に抑揚をつけて叩けば、他のメンバーが仮に同じ強さで
演奏をしていたとしても、曲に表情がついた感じに聴こえてきます。
それほどドラムはダイナミック・レンジの広い楽器なので、周囲に与える影響も大きく、
ドラマーにかかってくる比重も大きいのです。ですからドラマーは誰よりも常に、
曲のダイナミクスを意識して叩くことが大事です。
ダイナミクスは、ドラマーのさじ加減によって決まるのです。
技術的なアプローチによるダイナミクス
ダイナミクスを技術的に作るアプローチの方法には、
例えば曲のサビなど盛り上がる部分に向かう時に、派手なフィルインを入れたり、
リズムの刻みをハイハットからライドシンバルにするといった事、
歌の出だしに戻る時には逆のパターンをとるといった方法が一般的です。
これらはよくあるアプローチの仕方ですが、場面ごとにどのような
フィルインが合っているか(必要なのか)は、曲をしっかりと把握し、
見極めていく必要があります。
スネアの音量コントロールでアプローチ
またフィルインだけでなく、通常の8ビートといったリズムパターンにおいても、
Aからサビに向かうにしたがって、2拍4拍に入るスネアの音量を
少しずつ変化させていく事で抑揚が生まれます。
スネアの音量を弱くしてしまうと、芯の抜けた音となってしまいがちですが、
小さい音でもしっかりと芯のある音は必要です。
これに関しては、ドラムで強弱をつけるテクニック「アクセントとタップ」参照ください。
楽曲にもよりますがバラード系の王道パターンとして、
Aメロはリムショットで8ビートをおこない、Bメロからは普通にスネアに変え、
サビからはさらにオープンリムショットに変えるといった
段階的にキーポイントとなるスネアを変化させていくのですが、
これだけでもかなりの抑揚をつけることができます。
リズムパターンを変えてダイナミクスをつける
リズムパターンを変えるといっても、楽曲が変わってしまうような大幅な変化ではなく、
例えばハードロック等では、AメロやBメロは通常の裏打ちパターンで行い、
イントロや間奏、サビではツーバスの入った裏打ちパターンで行ったりします。
この方法も色々なジャンルでよく行われている方法です。
気持ちでアプローチするダイナミクス
もう一つのアプローチ方法は、「気持ちでのアプローチ」です。
イントロからAメロ(歌い出し)に入ったら、歌を聴かせる気持ちで演奏してみます。
すると不思議な事に、同じリズムパターンを叩いていたとしても、
自然にダイナミクスがついていきます。
自分が演奏している場面に応じて、どのような気持ち持っていればいいのかを
意識する事はとても大切な事です。
音楽は技術面も大事ですが、気持ち的な要素の方がはるかに大事です。
技術面が追い付かなくても、気持ちのアプローチでいくらでも表現をする事ができます。
また先ほどの技術的アプローチもそこに気持ちが入らなければ、
大きな変化を出す事は出来ません。
感覚的にダイナミクスのアプローチを学ぶ
ダイナミクスは歌ものだけには限りません。全ての音楽に必要なものです。
実際クラシックでは抑揚だらけですよね。
でもただ、ダイナミクスをつければ良いというわけではありいません。
そこに演奏者の気持ちを乗せてこその音楽です。
ダイナミクスをマスターするには、ジャンルにこだわらずたくさんの曲を聴いていき、
どういったテクニックを使って、アプローチをしているのかを研究していきます。
しかしこれだけでは、技術的アプローチの面しかわかりません。
ですから歌モノならどういう内容の歌詞なのか、メロディはどのように流れていくのか、
また曲構成やコード進行など、ドラムだけの側面をみるのではなく、
一つの音楽として全体の部分にも気を使いながら聴いていく事で、
感覚的にダイナミクスのアプローチを育んでいく事ができます。
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