少し前に「アフロキューバン音楽におけるクラーベを考察」という記事を書きましたが、
今回はアフロ・キューバンリズムを、ドラムセットで演奏する場合の
基本的なリズムパターンをいくつか紹介していきます。
各パーカッションのポイント抑えたリズムパターン
そもそもアフロ・キューバン音楽では、コンガやボンゴ、ティンバレス、クラーベなど、
様々なパーカッションで構成されて、一つのリズムを作っていきますが、
アフロ・キューバンリズムのドラムパターンは、これら複数のパーカッションの
ポイントを抑えたリズムパターンとなります。
その中でも重要となるのが「クラーベ」で、アフロキューバンをドラムで演奏する場合、
必ずしもクラーベのリズムパターンが入っているわけではありませんが、
クラーベを感じやすいリズムパターンが基本となっています。
またドラムセットで、クラーベのリズムパターンを演奏する時には、
ハイハットやライドシンバルのカップ、フロアタムの胴、タムタムのリムなどのほか、
ドラムセットにカウベルを組み込んで、クラーベとして代用されます。
アフロキューバン「6/8feel」
6/8フィールは、2つのクラーベパターンが基本となります。
※6/8フィールなので譜面は4/4で表記しています。
6/8フィールの基本となるドラムパターンは、
クラーベのリズムをライドシンバルのカップで演奏する事が多く、
タムやバスドラなどを加えて、他のパーカッションのニュアンスを作っています。
6/8フィールでは、以下のようなバリエーションもあります。
特徴としてハイハットでアクセントをつけて6/8フィールを出していきます。
カスカラ(Cascara)
「カスカラ」とはティンバレス奏者が、ティンバレスのシェル部分を叩く
リズムパターンの事を言い、おおよそ2つの種類に分けられます。
ドラムでカスカラを演奏する場合、ライドシンバルのカップやリム、カウベルを使います。
カスカラには「ソン・クラーベの3-2・2-3」
「ルンバ・クラーベの3-2・2-3」のパターンとがあり、
ドラムで演奏する場合には、クラーベのリズムはリムを使って演奏します。
カスカラのドラムパターン
ジャズのアフロキューバンでは、4ビートの流れで行う事が多々ある為、
カスカラのリズムパターンを2、4拍でハットを踏んでいる場合が多いです。
ワワンコー(Guaguanco)
ワワンコーは、ルンバ系統のリズムで、「3-2ルンバ・クラーベ」を
基本としたリズムパターンです。
ドラムのリズムパターンとしては、リムとタムなどで民族楽器的なアプローチでのパターン、
または、カスカラのリズムを混ぜ合わせたパターンになります。
モザンビーク(MOZAMBIQUE)
モザンビークは、ルンバやマンボと同じ、キューバで生まれたリズムです。
モザンビークは、キューバのコンパルサのリズムである「コンガ」が
基になっていると言われています。
モザンビークは、「2-3ルンバ・クラーベ」を基本としたリズムパターンで、
ドラムセットで演奏する時には、ライドシンバルのカップを使って演奏する事が多いです。
スティーブ・ガッド(STEVE GADD)のモザンビーク
モザンビークのリズムと言えば、一番にスティーブ・ガッドが出てきます。
それもそのはずで、誰よりも早くドラムにモザンビークを取り入れたのが、
スティーブ・ガッドなのです。
スティーブガッドは、ドラムセットにカウベルを組み込み、
キーとなるリズムはカウベルで演奏しています。
また特徴として、ハイハットをオープンで4分踏みしています。
ソンゴ(SONGO)
ソンゴは、アフロキューバン音楽の中では、とても新しいリズムで、
1970年代の初頭に誕生しいました。
リズムの特徴としては、ソンやルンバ、モザンビーク、マンボなど、
実に多くのラテン・リズムの要素を含んでおり、おおよそのアフロ・キューバン音楽は
ソンゴのリズムで通す事も可能な万能リズムと言えます。
ソンゴの基本ドラムパターンは、ライドシンバルのカップを使って、
4分打ちするのが特徴です。
ソンゴのキーとなるリズムは、「ルンバ・クラーベの2-3、3-2」
「ソン・クラーベの2-3、3-2」のどちらも核になっていますが、
よく使われるのは「2-3ルンバ・クラーベ」です。
デイヴ・ウェックル(DAVE WECKEL)のソンゴ
ソンゴのリズムの代表格といえば、「デイヴ・ウェックル」が挙げられます。
デイヴ・ウェックルは、自身のドラミングにソンゴを取り入れ、
斬新で革新的なドラムアプローチで世界に広めていきました。
アフロキューバンの決定版ともいえるドラマー
スティーブ・ガッドもデイヴ・ウェックルも、自身のスタイルとして
ラテンドラミングを世に広めた一流のドラマーですが、
私個人的にキング・オブ・ラテン・ドラマーといえば、
「オラシオ・エルネグロ・エルナンデス」だと思っています。
アフロキューバンの本場であるキューバ出身のドラマーなので、
ラテン独特のノリからくるリズムのアプローチが全然違います。
また左足でクラーベをやっているのも、他のドラマーとは一味違います。
今回は大まかではありますが、アフロキューバンのドラミングでよく使われる
基本型のリズムパターンをご紹介しました。
サンバやボサノバは、アフロキューバンではないため、また別に紹介します。
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